時間をお金で買う?それとも、遠回りして少しだけ得をする?
このあいだ、久しぶりに実家に帰る機会がありました。
電車に乗って、片道1時間ちょっとの道のり。普段はそんなに頻繁に帰っているわけじゃないけれど、たまに思い立って顔を出すのが、ちょうどいい距離感だったりします。
そのとき、ちょっとした選択に迷いました。
最短で行けるルートは、私の定期券の範囲外。スムーズに乗り継げば、1時間もかからず実家に到着できる。でも、普通運賃で乗るので、お金がかかります。
一方で、定期券をフル活用できるルートなら、運賃は350円安くなります。けれど、時間は30分多くかかる。
あなたなら、どっちを選びますか?
私は、迷った末に後者――「30分余計にかかっても350円安いルート」を選びました。
節約癖、といえばそれまでなのですが。
最近、ちょっとした移動でも「定期券が使えそうな道はないかな?」って自然と考えてしまいます。昔はあまり気にせずに時間優先で動いていたのに、不思議なものですね。
350円って、缶コーヒー1本とちょっと。
「たかがそれだけ」と思われるかもしれません。
でも、こういうちいさな積み重ねが、あとあと効いてくる気がするんです。家計簿をつけていると、なおさら。
とはいえ、「時間をお金で買う」という考え方も、もちろんありますよね。
たとえば新幹線や高速道路。
遠くまで行くなら、移動だけで1日が終わってしまうのはもったいない。お金を払ってでも、少しでも早く目的地に着いたほうが価値がある。そんな場面も、確かにあると思います。
実際、私もそういう選択をするときはあります。子どもの行事に間に合わないときや、どうしても早く帰りたい日なんかは迷わずお金で「時間」を買います。
でも今回は、「ちょっとくらいのんびりでもいいかな」と思える日だったんです。
それに、遠回りした電車の中は空いていて、意外と快適でした。
私は本を読むのが好きなので、ここぞとばかりにカバンに入れておいた本を取り出しました。
電車って、ちょっとざわざわしてるくらいが逆にいいんですよね。家で読むより集中できることもあります。スマホの通知も気にならないし、目的地までの時間がちょうど「ひと区切り」になる。
読み進めるうちに、あっという間に目的の駅。
「遠回り」と思っていた30分が、思いがけず充実した時間になりました。
節約って、お金のことだけじゃない気がします。
「お金を使わないように我慢する」ことじゃなくて、
「お金も、時間も、自分にとって納得できるように使う」こと。
今回の私は、たまたま「時間をちょっと売って、350円と読書時間を買った」というだけ。
反対に「350円払ってでも、30分早く着きたい日」もあるでしょう。
どっちが正解というわけじゃなく、そのときの自分の気持ちや状況で選べばいい。
そう思うと、節約ももっとやさしいものに感じられる気がしました。
ちなみに、そのとき読んでいた本がすごく良くて。
「この30分があったから、この本に出会えたのかも」なんて、ちょっとポジティブに考えてみたりして。
人生って、こういう小さな選択の積み重ねですよね。
今日もきっと、どこかの誰かが「時間か、お金か」でちょっとだけ悩んでいるはず。
そんなときに、「遠回りしてよかったよ」っていう誰かの声が届いたらうれしいな、なんて思います。
あなたならどうしますか?
「350円払って30分早く着く」ルートと、
「30分余計にかかるけど350円安い」ルート。
そのときの気分や予定によって、選び方も変わりますよね。
でもどちらを選んでも、自分にとって心地いい時間が過ごせたなら、それが正解。
そんなふうに思えた、ちょっとした帰省のエピソードでした。