スーパーに行くたびに、なんとなく感じる違和感。
「卵、また高くなった…」「牛乳のサイズ、ちょっと小さくなってない?」
これがいわゆる“ステルス値上げ”というやつなのかと、ため息をつく日々です。
最近、いろんなものがちょっとずつ、でも確実に高くなっている。
それでも、給料は前とあまり変わらない。
「これって、実質的に生活が苦しくなってるってことじゃない?」と感じたとき、
ふと書店で目にとまったのがこの1冊。
📗 『知っているようで知らない 物価のしくみ』
(池田書店/監修:斎藤太郎・木下智博)
中学生でも読めそうなレベル感で、図解も豊富。
気軽に手に取ったのに、読み終わった頃には「物価って、自分の生活そのものなんだ」と思うようになっていました。
「物価が上がる=悪」ではなかった!?
本書を読んで最初に驚いたのが、「物価=モノの値段」ではなく、「お金の価値の裏返し」だという視点。
たとえば、パンが100円から120円になった場合。
単にパンの価格が上がったのではなく、「100円ではパンが買えない=お金の価値が下がった」とも言えるんですね。
今のように「いろんなモノの値段が上がる」状態は、経済の専門用語で「インフレ(インフレーション)」と呼ばれます。
でも、ここでひとつ大事なのが、インフレ=悪ではないということ。
適度なインフレ(年間2%程度)なら、企業の利益が増え、給料も上がり、経済が活性化していく好循環につながります。
実は日本銀行(いわゆる“日銀”)も、ずっとこの2%インフレを目標に掲げてきました。
デフレが「当たり前」だった日本
ところが、日本は約20年以上にわたって、ずっと“デフレ(物価が下がり続ける状態)”の中にいました。
デフレの中では、モノの値段は上がらず、企業はコスト削減ばかり求められます。
その結果、給料も上がりにくくなり、景気は停滞。
安さを求めることが正義のようになって、「値上げ=悪」と感じるような社会になってしまったのかもしれません。
だから今、「久しぶりに本格的な物価上昇」を経験している私たちは、どこかで戸惑ってしまう。
頭では「インフレの時代に入ったんだな」と理解していても、
心では「でも、給料は変わってないのに…」と、納得しきれないのです。
世界中がインフレになる中で、日本だけ上がらないなんて無理がある
この本を読んで感じたのが、日本がインフレになっているのは、むしろ“世界と同じ動き”だということ。
2020年以降、コロナ禍やウクライナ危機、原材料やエネルギー価格の高騰、物流の停滞など、世界中がさまざまなインフレ要因に直面してきました。
アメリカやヨーロッパでは、物価が年5%〜10%のペースで上がり、各国の中央銀行が金利を上げて抑えようとしています。
そんな中、日本だけ「物価が上がらない」のはむしろ不自然。
実際、2023年以降、日本でも消費者物価指数(CPI)が上昇を続け、
ようやく「インフレを意識せざるを得ない社会」に入ってきたのです。
給料は本当に上がっているの?
インフレそのものは悪ではないにしても、それに見合った「賃金の上昇」がないと、生活は苦しくなるばかり。
政府や大企業のニュースでは「30年ぶりの高い賃上げ率」と報じられました。
でも実際には、中小企業や非正規雇用の現場では、物価高に追いつけないほどの格差が広がっているというのが現実です。
本書でも、「物価が上がってから、数年遅れてようやく賃金が追いつくのが一般的」とされていて、今まさにその“タイムラグ”の真っ只中なんだとわかりました。
「値上げされる=損」ではない?という考え方
もうひとつ、印象に残ったのが、「値上げ=損」ではないという視点。
企業が人件費をきちんと払い、品質を保ちながら価格を上げるなら、それはむしろ健全な経済のあり方。
むしろ無理な低価格競争を続けることの方が、サービスの質や働く人の待遇に悪影響を与えてしまうといいます。
もちろん、家計にとっては苦しいこともあります。
でも、「安ければいい」という考え方だけでは、回り回って自分の給料も上がらない。
「きちんとした対価には、きちんと払う」価値観が広がっていくことも、
これからの時代には必要なのかもしれません。
まとめ:暮らしの“違和感”は、学びのきっかけになる
『知っているようで知らない 物価のしくみ』は、経済に苦手意識がある人にこそ読んでほしい1冊です。
日々の「なんかお金が減るの早くない?」という違和感の正体が、丁寧に解き明かされていきます。
そして、私たちが今どんな時代に生きていて、何に注意すべきなのかが、具体的に見えてきます。
物価は、もはや「自分には関係ない」と言えない時代。
今後、教育費・住宅費・老後の資金など、お金に関わるすべてに影響してくるテーマです。
これからの生活を守るためにも、「物価ってなんだっけ?」と考えてみるのは、実はとても前向きなことだと思います。
📌将来の安心のために、少しずつ“じぶん年金”を
物価が上がる一方で、年金や老後資金への不安も増してきました。
そこで最近気になっているのが、iDeCo(個人型確定拠出年金)です。
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