投資と節約で頑張るアラフォーパパ

40代平凡サラリーマンの奮闘

〖実話〗「SNS投資詐欺に200万円を失った話。まさか自分が騙されるなんて思ってもいなかった」

前回、予告した続きです。
実は私にとって、11月は“魔の月”です。

s-sta.net

■きっかけは、何気ないSNSのメッセージから

実は、去年の11月。
私はSNS型の投資詐欺に遭いました。
今こうして冷静に書けるようになるまで、時間がかかりました。
最初は誰にも話せませんでした。
情けなくて、恥ずかしくて、自分を責める気持ちでいっぱいだったからです。

最初は本当に、ただの何気ないメッセージから始まりました。
SNSで外国人から「日本のことが好きで、観光名所を教えてください」というDMが届いたんです。
特に怪しいと思うこともなく、やりとりはごく普通。
「東京タワーはおすすめですよ」「京都に行くなら紅葉の時期がきれいですよ」──
そんな当たり障りのない会話が、しばらく続きました。

ところが、ある日突然、「あなたは投資に興味がありますか?」と聞かれました。
最初は軽く流しましたが、相手は丁寧に話をしてきて、「私の叔父が投資の専門家なんです」「暗号通貨で資産を増やせますよ」と言い出しました。

その頃ちょうど、ビットコインイーサリアムなどの暗号通貨が上がっていた時期でもあり、「もしかしてチャンスかも」と、少し心が揺れました。

■最初の入金は30万円から

最初に入金したのは、30万円でした。
専用のサイトを案内され、スマホで簡単に登録。

ログインもできて、数字も動いている。
チャートもリアルタイムで変動しているように見えました。

数日後には「利益が出ました!」という表示が出て、実際に出金できたんです。
(後から思えば、ここが“安心させるための演出”でした)

その時点では疑いもしませんでした。
「ちゃんと出金もできるなら安心だ」と思い、追加で入金してしまったのです。

結局、合計で200万円を送金しました。
もちろん、一度にではありません。
少しずつ、何度かに分けてです。

相手の言葉を信じ、利益の数字を見て、「もう少し増やせるかも」と思ってしまった。
これが地獄の入り口でした。

■「出金できません」──崩れた信頼

しばらくして、出金しようとしたときのことです。
ログインはできるのに、「パスワードが違います」とエラーが出ました。
何度試しても入れず、サポートに連絡しても返事がこない。

ようやく返事が来たと思ったら、「あなたの口座は一時的にロックされています」「解除には納税証明が必要です」と言われました。

「儲けたら税金が20%かかります。48時間以内に支払ってください」
「支払えば、納税証明書を発行します」

今思えば、完全におかしい内容です。
けれど当時の私は、焦りと混乱で冷静さを失っていました。
「本当に稼げているなら、ここで税金を払っておけば出金できる」と思ってしまったのです。

それもまた、詐欺の常套手段でした。
彼らは人の“心理の隙”を突いてきます。

用意周到に、まるでマニュアルがあるかのように、どんな返事にもすぐに自然な反応を返してくる。

少しでも疑う気持ちが芽生えても、すぐにその不安を取り除くような言葉をかけてくる。
本当に恐ろしいほど、巧妙でした。

■心の隙に入り込む「優しい言葉」

今思い返すと、彼らは本当に“人の弱さ”を見抜いていました。
ちょうどその頃、我が家は教育費のピーク。
大学生の長男と私立高校に通う次男、住宅ローンもまだ残っていて、家計は正直ギリギリ。
「もう少し生活を楽にしたい」「子どもにお金のことで我慢させたくない」
そんな気持ちが心のどこかにあったのです。

相手は、そこを的確に突いてきました。
「あなたはとても努力家ですね」
「家族のために頑張っているあなたを尊敬します」
「投資で少しでも生活を楽にしてほしいです」

──今思えば、全てが“信頼を得るための言葉”でした。
だけど当時は、心の支えのように感じてしまった。
本当にタイミングが悪かったんです。

お金の不安と、精神的な疲れと、誰かに認めてもらいたい気持ち。
その全部が重なって、私は冷静さを失っていました。

■現実を受け止めるまで

最終的に、ログインは完全にできなくなりました。
相手のアカウントも消えていて、連絡手段もなくなった。
その瞬間、全てを悟りました。
「これは、詐欺だったんだ」と。

心が真っ白になりました。
しばらくの間、何も考えられず、何も手につかず、ただ後悔だけが頭の中をぐるぐる回っていました。
警察にも相談しましたが、海外を経由した詐欺は追跡が非常に難しく、結局お金は戻ってきませんでした。
現実を受け止めるまでに、数か月かかりました。

■「自分は大丈夫」なんて思わないでほしい

正直なところ、私は自分が騙されるなんて思ってもいませんでした。
ファイナンシャルプランナー2級の資格も持っているし、
それなりに金融リテラシーはあるつもりだった。
だからこそ、騙された自分が本当に情けなくて仕方ありませんでした。

でも今は思います。
知識があっても、「心が弱っているとき」は、誰でも狙われる。

彼らはそういう“時期”を見抜くプロです。
日々の生活の中で、心に余裕がないときほど、
「ちょっとのチャンス」に見える話に飛びつきたくなる。
だから、もし今あなたが疲れていたり、不安を抱えていたりしたら、
どうか一度立ち止まってください。

「簡単に稼げる」「すぐに利益が出る」「誰でもできる」──
この3つの言葉がそろったら、ほぼ間違いなく“罠”です。
そして、「最初に少し儲けさせて信頼を得る」のが、彼らのやり口です。
私はそのパターンに、まんまとはまってしまいました。

■お金の怖さと、人の弱さ

200万円という金額は、我が家にとって決して小さくありません。

子どもの学費、家のローン、日々の生活。
それを考えると、今でも胸が締めつけられます。

けれど、同時に気づいたこともあります。
お金の怖さだけでなく、「人間の弱さ」こそが本質なんだと。

「もっと楽をしたい」
「少しでも安心したい」
そう思うのは、人として自然なことです。
でもその気持ちにつけ込んでくる人がいる。

だからこそ、冷静さと距離感を保つことが何より大切だと、身をもって学びました。

■最後に

私は200万円を失いました。
損失は大きく、節約しても挽回するには数年かかるでしょう。

正直、家計への影響は大きく、しばらくの間は何をするにもお金のことが頭から離れませんでした。
外食を控え、電気をこまめに消し、日用品も安いものを選ぶようにした。
でも、そうやって節約を続けているうちに、
家族から「なんだか前よりケチになったね」と言われるようになりました。

本当は、責めたい気持ちもわかります。
でも、自分でも情けなくて悔しくて、その言葉が胸に刺さりました。
家族との会話も少しぎこちなくなり、家の空気が重く感じる日もありました。

「お金を失うこと」よりも、「信頼を失うこと」の方が、何倍も辛い。
その現実に、改めて気づかされました。

それからというもの、これまで好きだったパチスロもやめました。
楽しく打っていた頃は、ちょっとした息抜きやリフレッシュの時間だったのに、
今は台の光や音を見るだけで、心がざわつくようになってしまった。

「もう二度とお金で後悔したくない」──
そう強く思うようになったのです。

パチスロをやめてから、週末の過ごし方が少し変わりました。

散歩をしたり、図書館に行ったり、少しずつ新しい時間の使い方を覚えています。

お金は減ったけれど、その分、自分と向き合う時間が増えました。
これは、あの出来事がなければ気づけなかった変化かもしれません。

お金を失うというのは、単に通帳の数字が減ることではなく、
自分の中の何かを壊すことでもあります。

でも、それをどう受け止めるかで、未来は変えられる。
私はこの経験を“終わり”ではなく、“学び”に変えていきたい。
少しずつでも、また前を向いて歩けるように。

この痛みを、誰かの気づきにつながるように──そう願っています。