先日、人生で初めて本格的なマッサージに行った。
肩や腰がじんわりほぐれていくあの感覚があまりに気持ちよくて、施術が終わった瞬間にはもう「また来たい」と思っていた。
でも、現実は甘くない。

住宅ローンに、長男の大学、次男の私立高校──
いま我が家にとって一番重くのしかかっているのは、なんと言っても教育費のピークが一気に押し寄せていることだ。
「こんなにかかるんだっけ?」
「もっと早く貯めておけばよかった……」
そんな反省と焦りの気持ちが胸のどこかにくすぶっている。
だから正直、マッサージに通うなんて、贅沢以外の何ものでもない気がしてしまう。
“贅沢は敵だ。”
そんな戦時中みたいな気持ちが頭をよぎる。
ところが、ふと思い出した。
会社のそばの商業施設に、マッサージチェアがあったはずだ。
料金を見てみると──15分で200円。
えっ……200円?
その瞬間、心の中のケチケチ監督が静かになった。
さらによく考えてみると、世の中には12分で300円とかするところもある。
それを思うと、15分200円は完全に破格だ。
「採算とれてるのかな」とこちらが心配になるレベルだ。
しかも、このチェアは医療器メーカーの最新モデルで、見た目もピカピカ。
座った瞬間、肩や腰の位置を自動で測ってくれて、
「はいはい、じゃあほぐしますね」
と言わんばかりに全身を包み込んでくれる。

足も押してくれるし、手や腕までギュッと挟んで圧をかけてくれる。
正直、なんでもっと早く気づかなかったんだろうと思った。
最近は腰が妙に痛い日も増えてきた。
45歳を過ぎると、体のあちこちに“ガタ”が出てくる。
若い頃は睡眠で一気に回復できた疲れも、今は翌日に持ち越され、さらに翌日に上乗せされる感覚だ。
先日マッサージに行ったとき、セラピストさんに指摘された。
「通勤中、カバンいつも同じ肩にかけてますよね?
右側だけすごく固いですよ」
図星だった。
毎朝の通勤電車では混雑で位置を変えられず、カバンを同じ肩に固定したまま立っている。
その積み重ねが、肩や腰にしっかり出ていたわけだ。
そんな身体の悲鳴に気づきながらも、
「いや、贅沢している場合じゃない」と我慢してきた。
でも──200円なら話は別だ。
そこで、私はひとつの作戦を思いついた。
ランチを牛丼屋でさくっと食べ、浮いた時間とお金で15分マッサージ。
牛丼ならさっと食べられて、財布にも優しい。
食べ終わったら商業施設に向かい、最新機種のチェアに身を預ける。
ガシッと体をホールドされて、ぐーっと押されているうちに、頭の中から仕事のことも家計のことも消えていく。
200円でこんなにリセットされるなんて、正直びっくりだ。
節約生活の中でも、このくらいの“自分メンテナンス”なら許していいんじゃないかと思えてくる。
本気の贅沢はできない。
旅行やエステなんて、今はとても手が出ない。
でも、15分200円の癒しなら、無理なく続けられるし、心にも体にも余裕を取り戻してくれる。
何より、これなら毎週でもいけるという気軽さがうれしい。
家計は厳しい。
教育費のピークはまだ続く。
でも、そんな中でも、小さく自分を労わる方法を見つけられたことが、なんだか救いだった。
これからも私は、牛丼をかき込み、200円の最新チェアに吸い込まれるように向かっていく。
たった15分の、小さなご褒美を求めて。
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